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援をしていくという方向では取り組んでおります。事実、地域住民の日常生活に大変密接な関係を持ったボランティア団体に対しましては、補助金等による資金援助という形でその活動を支援をしてきているところで、行政密着型のボランティアに対する支援は今までにもやってきたと言えるのではないかと思います。
しかし、皆さんもご存知のとおり高齢化が進み、国際化、情報化、また余暇時間の増大とか社会の状況が大きく変化し、それに伴いボランティア活動への関心が大変高まって来ております。
こうした中で、岡山市では平成6年度に職員による「ボランティア活動研究会」を発足させました。市長は「余り気軽で楽しいものじゃない」とおっしゃいましたが、気軽に、楽しくボランティア活動に参加できる社会を実現するためにどういうことをやっていったらいいかということを調査研究をしました。
今までのボランティア活動というのは、限られた人の自己犠牲的な奉仕活動というふうに皆さんイメージをされていたと思うのですが、近年生涯学習が大変盛んになり、生涯学習でいろいろと学ばれたことを社会に役立てたいと考える方が大変増えたこと。そしてまた「物から心の時代」へと言われておりますが、心豊かな社会、心豊かな人生を送りたいというふうに考えになる方が多いということ、また豊かな社会を目指した街づくりなどの共同活動を通しまして、ボランティア活動が自分自身を生かそうとする活動ではないかというふうに考えられてきたこと。それまでは人のためにする活動というように考えられていたのが、そうではなくて一層主体的なものとして意識されるようになったと。人の役に立ったとか、何かをなし遂げたといった喜び(達成感)、こういうものがボランティアの大きな比重を占めるようになってまいりました。昔と言ってはちょっと語弊がありますが、自己犠牲的な人のための活動から、自分自身を生かす活動へと変化をしてきて、ボランティア活動そのものに対する認識が変わってきたのではないかと考えられます。
また、それらの活動を通したふれ合いの中で、大変豊かな人間関係が形成されてきているということも見逃せない事実です。より豊かな人間関係を求めていく行動として社会の中にボランティアというものが広がってきているのではないかと、研究チームでは考えました。
この研究チームで市民の皆さんに平成6年12月にアンケート調査を行いましたが、その結果、活動への参加の意欲のある人は6割。NHKは全国調査でこちらは岡山市民対象でしたが、同じように6割でございました。「ボランティア活動に興味のある人」との問いには約8割の方が「興味がある」と回答しています。このことから、岡山市民のボランティア意識は大変高いのではないかと思いました。ただなんらかの動機づけがあれば、誘われればボランティア活動に踏み出せるが、まだまだ活発化するのには時間がかかるというような状況でした。
ところが平成7年に阪神・淡路大震災が起こりました。これが、ボランティア活動への大きなきっかけづくりになったのです。岡山市でも支援を送るのは勿論のこと、市長を巻き込んだボランティア活動も行いました。その内容に関しては記録集をまとめておりますので、ご興味のある方はお読みになって下さい。この時の市民の方々の強い熱意に行政も何ができるかということで、実際に神戸でボランティア活動をしてこられた方から、水道やガスが復旧していないため、朝、昼、晩冷たいご飯を食べているという話を聞きまして、

 

 

 

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